皆様こんにちは。
EidosCreateのイザヤと申します。
Blenderでモデリングを始める際、球を使うことが多いですよね。代表的なものでいえば、UV球(UV Sphere)だと思いますが、実は他にも球の種類は様々あります。
そこでこの記事では、様々な球のメリットやデメリット、主な使用用途を紹介したいと思います。
球は球から作るものだと思っていないか?
Blenderで球を作るとき、多くの人が最初に選ぶのはUV球(UV Sphere)だと思います。実際ショートカットキー一発でそれっぽい球が出てきますし、「UV球=自然な球体」と考えるのは自然なことです。
ですが、モデリングに少し慣れてくると、こんな違和感を覚えたことはないでしょうか。
形をいじろうとするとどこか歪む。
シェーディングがうまくいかない。
後から別の形に変えたくなって詰む。
ここで皆さん一つ疑問が浮かぶでしょう。
「ただの球のはずなのに、なぜこんなに扱いづらいのか」
実はこれ、球の構造が大きく関わっています。
球は形としては単純ですが、その構造は多岐にわたります。そのため構造の選び方によって、その後の作業効率が大きく変わってしまいます。
そこでこの記事では、Blenderで球を作る代表的な3つの方法を紹介しながら、
それぞれのメリットとデメリット。
どんな用途に向いているのか。
を整理していきます。
結論を先に行ってしまえば、一番それっぽく見えるからといって、その方法が一番正解とは限りません。
「なんとなく球を作る」段階から、「あとで困らない球を作る段階へ」
その分かれ道を、この記事で共有できればと思います。
球の作り方3選
UV球(UV Sphere)

Blenderで球を作るとき、最初に多くの人が使うのがUV球(UV Sphere)です。UV球はショートカットキー一発で追加できるため、非常にお手軽なものとなっています。
「Shift+A」→「メッシュ」→「UV球」
追加した瞬間から誰がどこから見ても球に見えるというのが最大の特徴です。さらにプロパティから分割数(セグメントやリング)をいじれば、見た目も簡単に変更することができます。
そのため、Blenderを触り始めたばかりのころは「球といえばこれ」という印象を僕は持っていました。
◆メリット
UV球の一番のメリットはとにかく早いこと、これにつきます。ショートカットキー一発で何も考えずに球を完成させることができます。球の仮置きであったり、大まかな作成であれば非常に助かります。
また、地球の緯度経度のような分割構造となっているため、非常に親しみ深く、UV展開の考え方が直感的なのも利点ともいえます。球にテクスチャを張るだけという用途であれば、大きな問題は特に起こらないでしょう。
◆デメリット

一方で、UV球は万能ではなく、構造的な弱点が存在します。
それは「上下の極点にポリゴンが集中している」ということです。極点というのは、地球でいうところの北極点と南極点になります。
これにより形を変形しようとすると、歪みやシェーディングの破綻が起きやすくなってしまいます。身近でいえば縦にループカットを1周できないということも弱点になるでしょう。
見た目をよくしようとして、分割数を多くしすぎると「扱いづらい重い球」になりがちです。
「少しつぶす」「角を出す」「別の形状に派生させる」といった用途では、後から困る構造になりやすいので注意が必要です。
◆向いている用途
UV球が浮いているのは「球で終わることが確定している」場合です。
具体的には、
仮配置用の球体
背景のオブジェクト
ほとんど編集しない前提の装飾などの構造
テクスチャを張るだけの用途
こうしたケースでは、速さと手軽さが大きな武器になります。
逆に言えば「あとで形を大きく変える可能性がある球」にはあまり向いていないです。
UV球のメリットデメリット、および使用用途について簡単に説明してきましたが、UV球は決して間違った方法ではありません。
ただし、使いどころが限定されているというのもまた事実です。
次に紹介するICO Sphereは、このUV球の弱点を別方向から解決した代表的な球となっています。
ICO球(ICO Sphere)

UV球に続いて、もう一つの代表的な球の作り方がICO球(ICO Sphere)です。こちらもUV球同様、ショートカットキーから一発で追加することができます。
「Shift+A」→「メッシュ」→「ICO球」
見た目はUV球と同じに見えますが、内部の構造は全く異なります。次からはICO球のメリットデメリット、使用用途について説明します。
◆メリット
ICO球の最大の特徴は「ポリゴンの密度がほぼ一定な点」になります。UV球のように上下にポリゴンが集中する極点が存在しないため、シェーディングが安定し、形状をいじっても破綻しにくくなります。
そのため、
少しつぶす
凹凸を付ける
全体をゆがませる
といった編集をしても、UV球と比べて見た目が崩れにくいというのが強みになります。特に、スカルプトモードを使う場合や、動植物などの有機的な形状のベースとしては、非常に扱いやすい球の構造といえるでしょう。
◆デメリット
一方でICO球にも明確な弱点があります。
それは「各面が三角ベースである」ということ。
これにより、トポロジーのコントロールがしづらく、きれいな面を作るのが難しい場合があります。また三角形の面なので、後からループカットを入れて形を正確に制御しようとしても、うまくできないことがあります。
アニメ調のモデリングや、角の立った形状に派生させたい場合には、扱いづらさを感じることが多々あるかと思います。
◆向いている用途
ICO球が向いているのは「形を均一に変形させる前提の球」になります。例えばですが、
スカルプト用のベースメッシュ
有機物(生物・やわらな物体)
表面にある程度凹凸を付けて完成させる球体
見た目の滑らかさを重視するモデル
こうした用途では、UV球よりも明確に有利な点になります。ただし、「球から別の形状に設計していく」場合には、最適解とは限りません。
ICO球は、極点にポリゴンが集中するという弱点を解消した、安定した球の構造です。しかしその安定性は、必ずしも「編集の際の自由度」と同じ意味ではないことに注意が必要です。
ここまででは、「速さのUV球」「均一性のICO球」という2つの選択肢を説明してきました。ですが、どちらの球も形を作り替える前提では不利な部分があります。
では、形を作り替える前提で球を使いたい場合はどうするのか。
次に紹介するのが、もう一つの球の作り方になります。
立方体+サブディビジョン
ここまでで、UV球とICO球という、基本的な球の作り方を見てきました。最後に紹介するのが、球を使わない球の作り方です。それが、立方体にサブディビジョンサーフェスをかけて球を作る方法になります。
◆作り方
「Shiht+A」→「メッシュ」→「立方体」
モディファイアから「サブディビジョンサーフェス」を追加・適用
もう一度モディファイアから「サブディビジョンサーフェス」を追加
スムーズシェードを追加
これにより以下の画像のような球を作成することができます。


サブディビジョンサーフェスは、形状を滑らかにする処理になります。その点でいえば、立方体は、
面構成がシンプル
エッジの流れが明確
極点が存在しない
という特徴を持っており、この構造にサブディビジョンをかけることで、ポリゴンの流れを保ったまま、丸い形状へと変化させることができているということです。
つまりこの方法で作っているのは、「見た目としての球」ではなく、立方体の要素をあわせ持った、後から編集しやすい球ということです。
◆メリット
立方体にサブディビジョンをかける最大のメリットは、編集に強いことになります。
ループカットを入れやすい。
面構成(トポロジー)を制御しやすい。
球から別の形に派生させやすい。
そのため、「少しつぶす」「角を立てる」「別パーツにつなげる」といった編集をしても、構造が破綻しにくくなります。特にアニメ調のモデリング等では後工程の自由度が大きく変わります。
◆デメリット
一方で当然ながらこの方法にも欠点はあります。
まずは手間がかかること。
追加した瞬間から球に見えるUV球とは違い、球になる仕組みを理解していないと、突発的な不具合など編集の際に不安が残ります。
また、この作り方はサブディビジョンサーフェスのレベル設定や法面処理に依存しているため、設定を間違えると「思ったほど丸くならない」「違和感がある球体になる」といった問題が出ることもあります。
完成形が「ただの完全な球」だけであれば、オーバースペックともいえるかもしれません。あくまで、後編集に特化した形状ということです。
◆向いている用途
立方体にサブディビジョンをかけて作る球体が向いているのは、球だけで終わらないことが分かっている場合になります。例えば、
アニメ調キャラクターの頭や関節
後から形を作り替える前提の球体
3Dプリント用の安定した球隊
球から派生する工業的または装飾的パーツ
こうした用途では、他の球構造よりも最終的な作業効率が高くなります。
おわりに
Blenderで球を作る方法は、一見するとどれも同じに見えます。しかし実際には、、、
どの球を選ぶか=その後の作業をどう考えているか
という違いがあります。
速さを優先するなら「UV球」
均一性と安定性を求めるなら「ICO球」
編集や派生を前提にするなら「立方体+サブディビジョン」
どれも間違いではありません。
大切なのは「今、何を作ろうとしているのか」を先に決めておくことです。
球は、再集計としてはとても単純な形です。だからこそ、その作り方にはモデリングの考え方がはっきり表れます。
もしこれから「とりあえず球を置く」という場面に出会ったら、少しだけ立ち止まってみてください。
その球は、完成形なのか。それとも途中経過なのか。
その答えが決まれば、選ぶべき作り方も自然と決まるはずです。
長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後も定期的にBlender制作の考え方について週1回ペースで発信していきたいと考えておりますので、もしよろしければNoteのフォローをよろしくお願いします。